環境負荷の低減を図ることは企業にとって永遠の課題です。
丸住製紙は、環境に優しく、強度と軽量の両方を兼ね備えた次世代新素材セルロースナノファイバー(CNF)の製造技術を独自に開発することに成功しました。
セルロースナノファイバーとは
セルロースナノファイバー(以下CNF)は、木材を原料にして、従来の製紙技術で製造した木材パルプ(紙の原料)をナノレベルまで細かくほぐした超極細のセルロースファイバー。ナノセルロースとも呼ばれるバイオマス由来の新素材です。
数ナノまで細いCNFは、透明で、特徴的な粘度性能を持ち、軽くて強い、温度変化による変形の少ない特性を持つといわれており、多くの分野での利用が期待できます。
●セルロースナノファイバー= Cellulose Nano Fiber
●ナノセルロース= Nano Cellulose
●ナノ = 1mmの百万分の1の長さ
木材パルプからのCNF製造イメージ
- 木材は細かく砕かれて木材チップに加工(幅約5cm,厚さ約1cm程度)
- 製紙工場で木材チップから繊維を取り出し、パルプ化
- パルプを薬品で化学処理し、細くほぐれやすく加工(化学変性)
- 高い圧力をかけて、木材繊維(パルプ)をほぐす(解繊)
CNFの特徴
CNFの電子顕微鏡写真
自社で製造したパルプ(KP)を薬品処理し、イオン性の官能基を木材繊維形成しているセルロースへ導入します。この官能基の静電反発性により、ナノレベルへの繊維解繊を容易にし、また、数ナノメートル(数nm)まで細く長い繊維が安定して分散します。
数nmまで細くなった繊維は、可視光の波長(400nm~700nm)よりも細いため、光を透過しCNFは透明になります。
●KP=クラフトパルプ,化学パルプ
自社化学変性CNFの特徴
- 高い透明性
- チキソトロピー性を有する
- セルロース表面への官能基導入
- 解繊処理にかかるエネルギー低減
透明性:独自の化学処理法による高透明性(CNF濃度 1.0wt%)
チキソトロピー性:スプレー可能で垂れないゲル(CNF濃度 0.5wt%・1.0wt%)
流動性:液体のように流れる(CNF濃度 0.5wt%)
粘性:逆さにしても垂れないゲル(CNF濃度 1.0wt%)
CNFの用途
CNFの特徴(高透明性,チキソ性)を生かして、多くの分野で利用していただけるよう、用途開発を進めてまいります。